日常をそっと応援 空宙空地 『トシノセィ』空宙番外地-11 短編集

コロナ禍、観劇自粛して久しい中、もう来年は大丈夫かと景気づけに面白いお芝居が観たい!オミクロンよ、広がるな!というのでこの年末は、コロナの隙をついて、札幌でもお馴染み、お気に入りの空宙空地を彼らの本拠地名古屋で観るという楽しい企画を実行。演目は、過去の短編2本、12月29、30日は「足りない二人」「死ぬ時に思い出さない今日という一日」に新作「スノーホワイト」または「ホタルノヒカリ」のいずれか。31日には「足りない二人」「くいくがりのなみだ」「ホタルノヒカリ」の3本、時間帯によって役者入れ替えバージョン。全部観たかったのだけど、都合上、「足りない」、「死ぬ時」、「スノーホワイト」を選択。

「足りない二人」は以前観たことがあったが、鉄板というか安心というか、元山未奈美氏とおぐりまさこ氏のテンポの良い掛け合いで笑って笑って、しんみり泣いて、また笑う、実によくできた作品で大好きだ。「死ぬ時に・・」もそうだが、関戸哲也氏の作・演出は、いつも過不足なく現実的でありながら優しい。「轟音、つぶやくよう うたう、うたう彼女は」他、数年前に札幌でおぐり氏の一人芝居(タイトル忘れた)を観て以来、女優おぐりまさこ氏の技量・力量はスゴイと感服しているし、関戸氏は知性的で謙虚さが感じられるお気に入りの脚本・演出家・俳優だと思う。まあ札幌でも賞をとっているお二人なので実力は証明済みかと。

「スノーホワイト」はちと毛色が違う、男女のリベンジ・サスペンス。だんだん怖くなる女を女優、水谷もか氏が好演。傷ついた心や恨みや怖さはよく出ていたと思う。もうちょっと声量がほしかったかなというところ。ちょうど札幌の冬にはぴったりのヒンヤリした作品。お待ちしてます。

人間社会って生きづらい、と思う瞬間がある人はいつの時代も多いと思う。そっと手を添えてくれる、ちょっと背中を押してくれる、大丈夫だよと言ってくれる、こんな演劇は心にいい。

新年あけましておめでとうございます。2022年はシアター芸術が楽しめる良い年でありますように。

2021年12月29日午後3時の部 名古屋市G/pitにて観劇。

text by やすみん

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