仕事をしていると、平日日中の観劇は相当難しいなぁと思った今回。観ることができた学校について書いていきます。
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<10月7日 札幌山の手 最終試験場の9人>
青森中央高校の畑澤聖悟先生の本。畑澤先生が書いた作品はいくつか観てきたけれど、私にとって本作は初対面。大学の推薦試験をくぐり抜けてきた8人が大学の一室に集められ、准教授から「最終試験に合格したければ、俺を感動させてみろ」という難題を出される。高校のレベルも、目指すことも違い、話がまとまらなさそうな8人の前に、「ずっとトイレにいた」と言う〝9人目〟の生徒が現れて-というのが出だし。
私が観てきたところでは、山の手は「魅せる」舞台を作ってきたと思う。華があるというか、出てきただけで目を引く生徒がいたし、個々に演技力の高さがあった。そういう部分でこれまでの舞台を支えてきたところも大きい。が、今回はちょっと違った。演技達者な〝大黒柱〟が何本も抜けた後、本作でメインの役を演じた1、2年生は、それほど個性が際立っていたわけではない。それでも、舞台をやり遂げようという心意気があらゆるところから見えた。本の面白さもあるけれど、奇をてらわない演出や演技を観て、「山の手、いい舞台を持ってきたなぁ」と素直に思った。特に、ホタテくん。わしゃわしゃとした身振り手振りと、役の熱っぽいセリフが相まって、とてもステキな演技だった。来年、楽しみ。
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<10月8日 大麻 once upon a time>
地下鉄の中でパンフレットの時間表記が間違っていることに気がつき、大通からタクシーで駆けつけ、15分過ぎたところから観劇開始。後で顧問の山崎先生から「最初の15分。大麻らしからぬ、意外と笑いが起きていた」とお知らせいただく(観たかった…)。15分間を観ていないため、正確ではないかもしれないが、発電機の話が「昔」、探検隊が洞窟に入っていく話が「今」。この2つの時代が織り交ぜられて話が進む。
都市部住みで発電機をさらっと買えちゃう奥さまたちと、田舎住みで夫の借金を抱える主人公(?)とのヒエラルキーはさておき、白く塗ったビール箱(?)で表す発電機がめっちゃ不気味。発電機から出たゴミが回収されず、人体に影響があることが発表され、最終的に埋めちゃう-というのは、東日本大震災の一連の流れや、昨今の原発再稼働にまつわるニュースを想起させる。山崎先生が10年くらい前に書いた本とのことだけど、古くささは感じられなかった。むしろ今やって正解なんじゃないかな。扱うテーマから、演出する人次第では問題提起を全面に出した社会派な(下手すれば、押しつけがましい)舞台にもなりそう。だけど、フラットで、過剰な熱を帯びない演技に引き込まれた。全国大会で上演した「Tip-Off」のキョウスケ母が、めっちゃふてぶてしい奥様を見事にふてぶてしく演じていて、「高校生は1年間でこんなに成長するのねぇ」と感心。ラスト、2つの時代を繋ぐ主人公のモノローグにしても面白そうですね。
text by マサコさん