<10月8日 札幌創成 オオカミは誰だ!?~この演劇はスマホの電源をONにしてパンフレットとスマホを手にもってお楽しみください~>
観終わった後、教文の館長さんに声を掛けたら、「外山ワールド、全開ですね!」とおっしゃっていた。「〝外山ワールド〟なる単語が生まれているのね!」と、うれしくなった私である。
登場人物の次の行動やオオカミは誰かなどを、観客がスマホで答えて、一番多かった答えが物語の展開になる「観客参加型」の舞台。通常の観劇では〝悪〟とされるスマホを、電源を入れっぱなしで良し、画面を光らせても良し。物語の分岐点になると、QRコードを掲げるジャージ姿の4人(パンフレットによると、「うるさい3年生」らしい)が出てきて回答を求める…というより、自分のPRをしているような様子。この4人が滑舌が良く、声も通り、とにかく楽しい。ともすれば、本編の登場人物を食ってしまうような勢いで、個人的にはいろんな意味でこの4人が「オオカミ」なのかも、と思った。
惜しむらくは、全ての分岐点で一番多かった答えを明かしてしまったこと。そのため、次の展開が物足りなく見えた場面もあった。最後の「オオカミは誰だ」からの展開は難しいかもしれないけれど、回答結果を明かす前に演技で見せる方法もあると思う(それこそ、演技で見せた後に、アンケート結果を後ろに映すとかね)。この作品、BLOCHのような舞台と客席がぐっと近い劇場で上演したら、演じる側も観る側も、もっと楽しくなるような予感がしてたまらない。
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<10月8日 新篠津高等養護 どんぐりの学校>
私が初めて審査員の声を掛けていただいた大会で審査をした作品の一つ。新篠津の舞台に出合ったのもこの作品で、個人的にとても思い出深い。大会が始まる前に、顧問の山田先生から「(この作品を)再演できそうなメンバーだった」と連絡をいただいていて、実際に観て、ものすごく納得した。
高等養護学校に転校生がやって来る。制服はまだなく、生成っぽいシャツとパンツ、ショルダーバックを身に付け、手には宮沢賢治の本。生徒たちは転校生と微妙な距離を取りながら、普通高校への思い、就職をどうするかなど、個人の思いを吐露する。学校祭の出し物が「劇」になり、全員でその準備を始める-という物語。高田三郎役の岩部くんを見た時、「すごい人(語彙が少なくてすみません)が入部したんだな」と衝撃が走った。座っているだけで様になっていて、舞台上に1人でいるだけでも存在感があるんだけど、より「いいな」と思ったのは、他の登場人物を演じる生徒たちも岩部くんに引っ張られているかのように、とても生き生きとして見えたところ。新篠津は全道に進めなかったけれど、叶うならばもう一度観たい。
賢治といえば、マルチョウ役の山田くんが1年生の時、「生徒諸君に寄せる」で演じたのは「賢治先生」だった(はず)。椅子に腰掛けてニコニコしていた姿が記憶にあるが、3年間で重要な役をきっちり演じられるようになったんだな、と感慨深いものがあった。
text by マサコさん