第72回 高文連石狩支部 高校演劇発表大会④札幌大谷

<10月9日 札幌大谷 わたしわすれたありしのありす>

顧問の小林先生より、意欲的な作品にチャレンジするとお知らせいただき、今回の大会で楽しみにしていた作品の一つ。ちょっと厳しく書くと、やりたいことはとても伝わったのだけど、やりたいことを表現する手段が整理しきれなくて、「はて?」と感じた人も多かったのではないか。

学校の旧校舎を舞台に、現代と過去(というより、別の世界?)を行き来する。美術部の生徒1人が気が付くと、そこは「不思議の国のアリス」の世界。うさぎから「あなたはアリス」と言われて、だんだん「私はアリス」と信じていく中、ときたまごや郵便猫など、アリスの登場人物と出会う。一方、現代では美術部の生徒たちが、「時間を気にせずに絵を描けるのは旧校舎」と気づき、旧校舎に向かう-という物語(だったと思う)。

現代からアリスのパートに移るきっかけや、ラッパーの2人(と、たどたどしくラップを披露する主人公が抜群にかわいかった)や洗濯の女王のキレっぷり、など、〝パーツ〟は面白い。だけど、それらがうまくつながっていない場面も多かった。現代→アリス→現代→アリス…という物語全体のレイヤーは見えるけれど、重なりきれていないと言えば良いか。

かなり緻密なことをやろうとしていたんだと思う。物語とその表現方法とがうまくかみ合えば、「はて?」が「なるほど!」に変わると思う。再演を待ちたい。

美術部の生徒のうち、ショートヘアの女子がとても魅力的で、目が離せなかった。

text by マサコさん

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