オープニングの雰囲気から、長尺に自分が耐えられるかと思ったが杞憂。あっという間の130分だった。
様式美的な演出と衣裳の統一感から、「一人何役もがあるのかも」と余計なことを考えていたので、4名の4つの物語が展開して行くのだと気づくのがちょっと遅れたが、気づけば物語に引き込まれていた。
〝私達は皆いつでも、難破しそうな船です。だから何度でも助けを求める必要がある〟〝そして毎日をどうにか生きのびましょう〟
〝起きてしまった事実を言葉で変えることはできない。でも言葉で、起きてしまった事の意味を見つけることはできる〟
4人の男女の人生のどこかの瞬間に、誰もが自分の何かを重ねてしまうような優しく愛おしい物語。同じくTGRで拝見したオパンポン創造社さんの『幸演会 』は哀しく愛おしい物語だったが、どちらにも惹かれてしまう。胸を衝かれるような「愛おしさ」を共有できる舞台が最近ちょっと少なかったなあと改めて思わされた。
(出ハケの所作や演者の配置・舞台装置などから能楽を連想したのだが、元来コミュ症なので客出し時にいらっしゃった作演の永山さんに意図をお尋ねできなかったのが残念)
扇谷記念スタジオ‐シアターZOOにて観劇
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劇団こふく劇場 第17回公演『ロマンス』
2023/11/25(土)~26(日)
text by 九十八坊(orb)