鸚鵡役の二人がどんどんオウムにしか見えなくなってくる。登場人物2人が作品の読み合せをしながらその世界に入り込んでいくさまが秀逸で、観客も強制的に巻き込まれてゆくという脚本と演者の巧みさは、さすが札幌演劇界唯一無二のカンパニーの独壇場。
これは本編の感想とは違うかも知れないが、個人的には会場パンフが「親切すぎた」のが残念。こしばきこう氏のサービス心からと思うが、演出ノートとあらすじでほぼネタバレしてしまい、僕は先を楽しむというより「ラストは大ドンデン返しの結末をむかえる。」と書かれた、それまでの確認作業をすることになってしまった。そしてその「大ドンデン返し」も、それまで二人の秀逸な表現で語られていたものが、ラストはセリフによる状況説明的な結末であったことは少し残念。劇作家の悪行にしても、その片鱗があまり伺えない善い人に見えていたのが個人的には物足りなかったか(それは、ラストでひっくり返すためわざとそうしたのかも知れないけど)。
扇谷記念スタジオ‐シアターZOOにて観劇
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風蝕異人街『嘘と鸚鵡と毛皮を着たヴィーナス』
2023/11/17(金)〜19(日)
text by 九十八坊(orb)