学園ラブコメに100分はずいぶん長尺だなあと思ったが登場人物が割と煩雑で、それをシンプルに楽しませるため実はかなり緻密に組み上げているんだなと。中だるみもなくラストまで楽しめた。
このテの作品に、さとしんさんは欠かせない。っててか「暗躍する謎の組織」と書いた時点で観客の期待がさとしんさんに一身に集まるのはお約束(笑)。ただし、昔ながらのありがち学園モノかと思ったら「生徒会による学園祭の大綱案」の緻密さあたりからおっ?と、俄然興味が高まった。
(しかしこれは「今」の学生のリアルでもないような。つまるところ古今を問わず誰もが遭遇する悩みや揺らぎのエッセンスが「学園戦争」なのかなと。ただし生徒会長、実行委員長、演劇部部長とすべてトップが女子生徒なのはやはり今風か)な
序盤は人物関係の整理が必要なのでどうしても出ハケの多い展開になってしまうのは仕方ないがちょっと単調だったかな。素舞台で問題ない作品だがあえてスクリーンを配したなら、序盤(や、学園祭の夜や卒業式など)は照射背景に頼っても良かったのではと個人的には思った。
稲垣さんが要所で効いている。会長・委員長のために努める男子たちも微笑ましいが、見ているこちらがこっ恥ずかしくならない淺利さんの細かい表情・表現に感心。
2023年12月3日(日) 演劇小劇場BLOCHにて観劇
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シタヤジルシプロジェクト『学園戦争』
2023/12/2(土)~3(日)
text by 九十八坊(orb)