停電車両内だけの「掌編」としても成立するストーリーだが、前半の個々の出来事が「その後」に生きてくる。特に、地下鉄各線の端っこからテレビ塔に集まってくる時の「言葉と音」の高揚感は前半があってこそでした。
停電車両で1つのあかりを灯し皆が語る。焚き火効果の中での豊かな会話劇。登場人物はもとより、観客もその落ち着きと集中に取り込まれ一体感を味わえた。和泉さんのイヤな感じで本当に嫌(ほめてます笑)。三島さんが謎を残して想像力を刺激させる。
TGR2023では公演中止になってしまった本作。札幌はいま雪まつりの真っ最中だが、終わればあとは春を待つだけ。一足先に札幌の春の匂いを感じさせてくれたこの作品、もちろん劇団としては延期は不本意だったと思うけど、この時期に観ることができた自分としては春を想ってちょっと幸せな気分になりました
(そして僕の大好きな『沙羅双樹の花の色』が2024年夏にまたまた観られることにもワクワクしています。期待して待ちます)
2024年2月5日(土) 扇谷記念スタジオ‐シアターZOOにて観劇
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劇団fireworks『≒生活。』
2024/2/2(金)〜4(日)
text by 九十八坊(orb)