INDEPENDENTは大阪インディペンデントシアター発の「最強の一人芝居フェスティバル」。俳優と作演出家によるユニットが、様々なスタイル・表現手法のソロアクトで競演する企画だ。16年以上続いており、コンカリーニョでの札幌版開催も恒例となっている。多彩な作品・新鮮な組み合わせが嬉しく、楽しみにしているイベントだ。
今年は札幌4組、道外2組の参加。所用にてBブロックの3組のみを観劇。
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『突貫!拙者の一夜城』
出演:吉田青弘×脚本・演出:片岡百萬両(片岡自動車工業)
木下藤吉郎(豊臣秀吉)の墨俣築城のエピソードを、「木下くん」の幼なじみという設定の蜂須賀小六が、友情の物語として演じる。きらきらしく活躍する友人のまぶしさ、出世して変わっていく・置いていかれることの淋しさ、目を向けてくれたことの喜び…、とてもチャーミングに演じていた。意見が合わず置き去りにされたときの切なさが素敵。光り輝いて走って行く人は、きっと小六のような人たちに支えられているんだろうな。ラストのほうでちょっとだけ間延びを感じたのと、後半、声がお疲れだったのが残念。ユニークな物語で面白かった。
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『このこのこへ』
出演:有田哲(クラアク芸術堂)×脚本・演出:望月りんたろう(カンガルーパンチ)
娘の恋人から結婚の許可を求められた「父」が、自分たちの結婚に至るエピソードを回想する物語。あり得なさ加減を役者がきちんと着地させていた。
冒頭はあまり心惹かれなかったのだけど、回想シーンに入ったら「お、できる!」という気持ちに。この俳優は子どもや青年を演じると光る、というのもあるけど、身体のキレや所作に「ああ、若い役者の成長は早いなぁ!」と感じ入るものがあった。落語的な演じ分けも堂に入ってきてる。老け役の声色、頑張れ。
意外なネタと銀河鉄道というびっくり感もあり、物語の先行きが気になって最後まで集中して見た。落語のような作りで、しかも古典のオチ(笑)。うまい。
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『頬に雨がおちたから』
出演:廣瀬詩映莉(ELEVEN NINES)×脚本・演出:イトウワカナ(intro)
少女(〜若い女性?)が人生の「嫌なこと」から逃げ続ける様子をマラソンに例え、実況を入れつつコミカルに描いている。30分を走りきり演じきった。最後までセリフも混乱の動作も決まっていた。ここまでの稽古をした根性と努力、本当に素晴らしい。
しかし体力系の動きとモノローグはイトウの手法として馴染みがあり、ハンカチエピソードからは東海連合『そして、彼女は』を連想したのもあって、「なんかスゴイものを見た、満足!」という気持ちにまではなれなかった。個人的に、逃げることの惰性のスピードと心理にシンパシーを感じられず、繰り返しでリズムのいいセリフが単調にも感じられ…。
が、ある人によると「あの作品はいわば闘牛のようなもの。物語性ではなく、あれをやりきることがスゴイ、というタイプの作品」なのだそう。なるほど鑑賞のポイントが違うのね。しかし注目の若手役者のいわば公開披露なわけで、私としては、いろんな持ち味を存分に発揮できる作品を、ひそかに期待していたのでした。次回の挑戦はぜひそちらの方向で…、どうでしょうか。
日時/2017年6月17日20時
会場/コンカリーニョ
text by 瞑想子