年齢、体型、歌唱力、ダンススキル、オーラ、いずれも様々、バラバラな面々が楽しくミュージカル。最初の全員ダンスではしらっと外見だけを見ていたのだが、フィナーレでは、すっかり親しみが湧いて一人一人の姿を見ていた。特にアリー役の光耀萌希さんの笑顔は素敵だった。演出、作曲、振付もされたのだから当然かもしれないが、「やりました!」という充実感にあふれていて、微笑ましい。
とはいえ、最初は、いきなりコンサートばりに手拍子状態のノリに、うわー、エライとこに来てもた、と当惑した。周囲が手拍子、舞台にちびっこ、という時に、じっとして客観視していると、ノリが悪い、人でなし、と思われるような気がして面倒だ。と思う自分が面倒だ。手拍子はちょっとつきあってすぐやめた。終演後にレビュウがあって全体が長かった。
このストーリーは、よく知られた童話のお姫様をモチーフに、戦うお姫様、ゲイのシンデレラ、歩けない人魚姫など、ダイバーシティの要素を取り入れて面白い。ダイバーシティとは要は、性別、年齢、身体的特徴、国籍などの多様性のこと。多様性を受け入れて、平等に個性を生かして社会参加しようという動きを指すこともある。脚本は、深浦佑太氏とのこと。私、彼の「ブロッコリー」好きでした。ここでついでに公言しておこう。一点、タイトルのPrincess Fighterだが、Princess Fightersと複数にするべきではないだろうか。
魔女役の青木玖璃子さんがよかった。安心の悪役。美しい。やはり悪役はあの高笑いができないとね。見事でした。国門綾花さん、長麻美さん、佐藤亮太さんのお姫様たちはいずれも熱演。ギャグも効いていた。塚本奈緒美さんは、役柄のせいか、いつも薄幸、病弱な感じがするのだが、男子はああいう華奢な可愛い女子が好きであろう。適役だ。
開演前には、会場の雰囲気をもみほぐす出演者男性と共にちびっこ2名が舞台に立って「パンフレット買ってください」と義援金活動のように叫んで宣伝。ふとナポリで老婆が赤ん坊を抱いて、「レーチェ、レーチェ(ミルク)」と我ら日本人観光客に迫ってきたのを思い出した。
2017年8月11日13:00 コンカリーニョにて観劇。
text by やすみん