演劇ユニットサクラナイフ「消火器アリスと狂姫鏖祭」をパトスにて。右側の扉から、ぶら下がっているボードをくぐって入場。ニコニコ笑っているイケメンと女の子がたくさん出てくる少女マンガにありそうな世界。意味不明なようでいて、けっこう早めに状況が判るのは、意図通りなのかどうかは不明。
とにかく笑っているイケメンのチェシャ猫がよかった。逃げ込んできた女の子を見守り、積極的な手助けはしないけど支え導くという、ある意味理想的なヒーロー。役者さんもハマっていた。主人公との二人の物語は、綺麗にまとまった終わり方。
内面世界では、現実と繋がっている存在は靴を履き、そうでないものは裸足とわかりやすく表現。分身は極端さを含めけっこう魅力的だったりする。エロティックな人もいるけど、現実感がないようにしているようで、記号としての存在が強調された形。
終盤に生首めいた感じで顔が8つ並び、そのうち一つが男性という場面があり、全く関係ないのに座間市の事件を連想してしまった。あの事件が無ければ、いいイメージを持てるシーンかもしれないのに、表情を含めて猟奇的なものを感じてしまう。
途中消火器で殴りかかる場面で、けっこう大きな音がしたけど、あれ元々の演出なんだろうか。病んだ世界を存分にさまよった後、入場した時にくぐったボードの裏に書かれていた、現実世界へみたいな言葉通り、演劇空間より現実世界に無事帰還。
- 2017/11/01 21:00
- ことにパトス
- 約1時間25分
text by 小針幸弘