イレブンナイン「やんなるくらい自己嫌悪」をサンピアザ劇場にて。死にたい人、死なせたくない人、死にたくない人などが登場する、コメディでもあり、愛憎劇でもあり、少しホラー調でもある話。森の不思議な住民は、彼らをふわっとした感じで受け止める。見方によって、いろんな表情を見せそう。
コメディの主担当のヤクザの二人組が、とにかく面白い。無軌道なようでいて、どこか律儀で、そして間抜け。弟分がどうしようもない兄貴分の面倒をみるところは、小さな子の面倒を見る親のよう。見てくれとのギャップもあり、会話のテンポも気持ちよかった。
時間はけっこう前後するし、同じ場面が別の視点から描かれたりするけど、すぐにどの場面か判る。感覚としては、いい小説を読んでいる感じでしょうか。三つの話を繋げる森の質屋さんと萬屋さんの話で整理をつけて、時間経過が判る仕掛けだろうか。
森の不思議な住人たちは、完全にファンタジーの世界。森のセットの、上から吊られても不思議がないような気味悪さをかなり緩和したような気がします。森の母とも思える質屋は、少し息切れしていたみたいだけど、ふんわりとした優しさの象徴みたいに見える。
森の萬屋さんもよかった。退場シーンでも、笑わせたり、感動させたりいろいろ。
なんと言うか、どのキャラももっと見ていたくなる感じでした。
機会があれば、また観てみたい作品です。
- 2017/11/09
- サンピアザ劇場
- 約1時間55分
text by 小針幸弘