第67回全道高等学校演劇発表大会 その4

●札幌藻岩 「ひと夏のかぐや姫」 生徒・顧問創作

「役者が舞台上を駆け抜ける」というのが、藻岩の作品に対する印象だ。あと、棒術のできる女子がいる(なぜなのか知りたい)。しかも、毎年、女子が魅力的。

 

それはさておき。マチおこしの一端を担う竹林高校の学校祭「かぐや祭」が、どうやら今回で終わりらしいと、生徒たちは知る。村に住む祖父母を訪ねてきた女子高生をかぐや姫に選び、生徒たちは最後のかぐや祭に挑む-。

 

ミュージカルのようなオープニングに心が躍った。せりふが聞きづらい場面もあったが、全体的にテンポがいい。物語のメリハリもあり、何となく「春フェスに行くのかなぁ」なんて思いながら観ていた。一方で、藻岩を観続けている人にはこの展開はワンパターンと思われてしまうのだろうか、とふと思った。

 

何よりも、上手、下手からダッシュしてくる桜子の祖父母が魅力的だった。

 

●余市紅心 「おにぎり」 生徒・顧問創作

札幌山の手の中禰先生から「面白い作品がある」と教えてもらい、余市まで稽古を観に行ったのが2015年のこと。一昨年、昨年と中心になっていた生徒たちが卒業し、異動により顧問も交代。それでも全道に出てきたのは、実力が付いてきた証しなんだろうなと思った。

 

舞台は野球部の部室。ケガをして休んでいる生徒、控えっぽい生徒、マネージャーの3人の会話劇だ。舞台上で実際に米を炊き、おにぎりを握る。炊飯器の中を妄想して、米を擬人化して笑いを誘う場面は、コントのようでもある(「おにぎり」というタイトルから、全く想像してなかった分、笑った)。

 

だけど正直、最優秀に選ばれるとは思っていなかった(観ている本数が7/18とはいえ)。この作品では全国では勝てない、と思ったからだ。そう思った理由は以下の通り。

1.「余市紅志」のカラーが広まりつつある全道大会だからこそ、観客の関心も高く、笑いが取れた部分も多い

2.吉田くんがおにぎりを食べて、自分の進路を決意する場面(主に表情の変化で表現)が分かりにくかった人が多いと思う。また、その表現があの大きなホールで伝えきれるのか

3.部室の窓が開いているはずなのに、2の場面でSEなし。シーンとした場面が続き、ハラハラしたのは私だけではないだろう

4.窓の作りが雑

5.全体的に、作品の強度を感じられない

とはいえ、これまでの余市紅志の流れをくんだ作品で、悪い作品ではない。しかし全国では勝てないと思った(本日の講評は1つも聞いてないので、あくまでも個人的に)。でも、あの余市紅志だろう、何かやってくれるはず-と、今となってはひそかに期待しているのである。

 

終わり

・17~19日、苫小牧市民会館

諸事情あり18校のうち7校のみ観劇

text by マサコさん

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