劇団コヨーテ「路上ヨリ愛ヲ込メテ」をBLOCHにて。出てくる人が、嫌な奴を含めて、全て魅力的に見えてくる舞台。怪しげな宗教の怪しげな教祖が元は純朴に見える人だったり、主人公を救う職場の女神と言ってもいい人が、大きな悩みを抱えていたり単純ではない。いろいろあって最後は少しジンとくる。
ダメな男がたくさん出てくるだけに、真っ当に生きているように見える北村が魅力的に見える。もちろん演じている役者さんがかっこいいのもあるけど。悪役的な出方だが、彼から見たら主人公達は歯痒い存在なんだろう。バイトの後輩も嫌な感じがすごくいい。
劇中で出てくる日付が原爆投下や原発事故の日だけど、特にそれをテーマとしている訳ではなく、新興宗教が重要な存在で、大きく扱っているけど、それに熱狂的な人に対しては、どこか冷淡。宗教団体自体も、敢えて安っぽく表現しているような印象がある。
旅が冒頭を含め何度か出てくる。失った何かを追い求める旅に思える。もしかすると物語自体、旅をする中での回想のようなものなのかもしれない。嫌なもの、辛い出来事を含め、どこか美しい思い出になり、それを抱えて生きていく。旅の先には何があるのだろう。
- 2017/11/19 18:00
- BLOCH
- 約1時間30分
text by 小針幸弘