役者が凄すぎる ― ニッポンの河川『大地をつかむ両足と物語』

舞台は、客席に四方を囲まれる形。豆電球で彩られて、静かなお祭りの櫓(やぐら)みたい。

内容は、“高速モンタージュ演劇”となっていましたが、それに“ハイテンション”という要素を付け加えたい…。時間軸がパッパっと目まぐるしく切り替わる為、それに翻弄されながら笑いながら、瞬く間に過ぎた50分。夫婦の半生がギューッと煮詰められたような話。詰まるところ、全ては玄関を開けた研究者と荷物を届けにきた女、二人の妄想なんじゃないか?と思えた話。

でも何より一番面白かったのは、役者さん!すごいマルチプレーヤーでした。チラシに曰く【出演・音響・照明】となっていたので、演技しながら入れ代わり立ち代わり機材を操作するのかな?と思っていたら、そんな私の凡庸な想像を斜め上に裏切ってくれました。3人の役者さんは、腰にラジカセ、肩に電源タップ、キャップのつばに照明…その他諸々の機材を身にまとい登場。すみません、登場した時点で既に笑えました。しかも音源がカセットテープ!(頭出しが楽チンらしいです)正式な音響・照明設備とは比べるものではありませんが、カセットテープ・LEDライトでも意外と気にならないものだなと感心しました。「人件費を削れるだけ削って今の形。あとはカセットをボイスパーカッションに変更とか…」とアフタートークで言っていましたが、テープを入れ替える際のカシャカシャと響く音、焦り気味の沈黙や、サッとテープを床に滑らすポーズなど、全てが面白かったので個人的にはカセットテープは是非残してほしいです。それにしても、今でさえ過積載な感じの役者にボイパまで課そうとは…。過酷。

東京では野外での上演だったとの事ですが、確かにこの話は整えられた劇場の中よりも、天候や通行人などの外的要因に揺さぶられながら話が進む方が絶対面白そう!次に札幌公演の機会がもしあれば、チカホとかで上演してくれないかなー。

 

11/18(土)14:00~ コンカリーニョ

text by うめ

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