「大いなる実験」という印象を受けた。
舞台にとくにセットはなく、かぶり物はあったものの衣装も黒ずくめで、少しばかりの鳴り物があったものの音楽もなし。それでいて総勢27名の出演。劇団に所属している者もいれば、この演技研究講座受講生もいる。
そして何より、ほぼ翻訳どおりのセリフを90分~100分ほどに収めようという趣向からか、セリフが超早口。滑舌が悪ければ聞き取れないこと必定。たしかに聞き取れない部分多数。弦巻氏はあえてそれを是認してお芝居を作り上げたものと思われる。
結果からいえば、お芝居の前半部分は、人間関係の説明が多く、しかもそれが入り組んでいたりして、話の筋がよく分からなかった。よく分からなかったばかりか、超早口のセリフがポンポン飛び交い、比較的抑え気味のセリフが続くためか、猛烈な睡魔に襲われてしまうから不思議。
後半もかなり後になって、リチャード三世の傍若無人の振る舞いに辟易したリッチモンド伯との戦い、そして大団円に向かう場面で、セリフがややゆっくりして話の内容が見えてきた感じだった。
改めて考えてみると、お芝居を前半・後半に分けると、前半をどうやって乗り切るかが演出上重要であることが分かる。どうしても登場人物のキャラクターを紹介する場面が多くなる。観客もどんなシチュエーションなのか理解しようとする。ここがはっきりつかめないと、前半がつまらなくなってしまう。
お芝居は本当に難しい。
演劇研究生の発表の場であることを考えると、「やりきった感」を実感してもらうという主旨だったのであろうし、今日のお芝居も全員が「出し切った」といえるだろう。弦巻氏がリーフレットで書いていたが、このお芝居を通して、次の時代の役者さんが登場することを期待したい。
そういえば「#28 1/2」は前作が#28、次作が#29であることが決まっているので、その中間にあるのがこのお芝居(演劇研究生の演劇)という意味でしょうね、きっと。
このお芝居は23日から26日までの公演だった。千秋楽のお芝居を観劇したが、観客が少なかったのが残念だった。関係者はすでに観劇していたのかもしれない。
上演時間:1時間40分。
11月26日14時 サンピアザ劇場
投稿者:熊喰人
text by 熊喰人(ゲスト投稿)