劇団パーソンズ「海月と睫毛」をレッドベリースタジオにて。入場時から夫婦らしい二人がテーブルで会話しており、壁際に座った人達は、それぞれのキャラの雰囲気を出している。見ていて仲睦まじい二人に見えるだけに、開演後の展開はけっこう辛いもの。誰も特別に悪いわけではない、静かな悲劇。
メイドさんの現在パートの話し方が、個人的にはツボ。異界感と妙な説得力を感じるんですよね。話を過去に持って行くためのキャラだけど、おかげですんなりと入り込めました。過去パートは、皆さん比較的抑えた表現なので、それに繋げるという意味もあったのかな。
病によって崩壊していく幸せな家庭。その中で酷いこともいろいろ起きているけど、ほぼ台詞での説明で、加害者としての側面は極力出さないようにしている。最後の絵は届けたい人には間に合っていない訳だけど、直接の表現が無いのでそんなに酷い感じはない。
最終的に自分はここに居ていいんだ、愛されていたんだという承認を得ることが救いになるんだけど、それが一番届いて欲しい人に届いていないのが、なんとも辛い。悪い人が出なくても、悪いことは起き、周りはそれに苦しめられる。終演後の幸せな場面の再演がまぶしい。
- 2017/11/26 14:00
- レッドベリースタジオ
text by 小針幸弘