【特別寄稿】TGR大賞受賞にあたって  寄稿者:南参

 
ようやく、ついに、やっと、という思いです。

yhs結成20周年記念公演「白浪っ!」が札幌劇場祭TGR2017の大賞を頂きまして、本当にありがとうございます。

2010年に「しんじゃうおへや」という作品を上演した年、表彰式を見学しに行った私に劇場の方が寄ってきて「すいません……よく考えたら日程的にTGRにノミネートする条件クリアしてました……」と謝られました。劇場の方の勘違いでTGRの参加作品になっていなかったのです。「いや……今さらそんなこと言われても」と思う私に、関係者各位から「なぜノミネートしなかった」「ノミネートとしてたらきっと大賞を……」みたいな言葉を数々投げかけられ、告白もしてないのに勝手にフラれた気分でやりきれない気持ちになったことを覚えています。

「じゃあ、獲ってやるか」というわけで2011年、2013年、2015年と2年おきに参加してきました。特に2013年は「必ず大賞を獲る!」と意気込んで参加したものの、私的なトラブルも重なり納得の行く出来にもならず……。結果は特別賞。悔しさでいっぱいでした。2015年も特別賞。2016年はコンカリーニョ・プロデュースの演出としての参加でしたが、これまた特別賞。4回中3回特別賞と、そういう言い方をすれば優秀に聞こえますが、もう一歩で獲れない悔しさは格別なのです。しかも、2014~2016年の大賞は全て道外勢。モヤモヤしたものが感情の底に溜まる一方です。

2017年はyhs20周年を迎える年。出来れば楽しくめでたい公演にしたい。でも、TGRの大賞もその記念すべき年に獲りたい。色んな葛藤を抱えて末の結論は「とにかく誰もが楽しめる作品を創ろう」という自分の、yhsの原点でした。変にストイックにならず、20年で培った知識・手法・キャラクター等々を全て詰め込もうと思いました。その結果として大賞を頂けたのは、ただただ幸せです。

何年も前から、たくさんの方々に期待されてきて、ようやく期待に答えられてホッとしたというのが一番大きな気持ちです。重ね重ね、ありがとうございました!

今年度からは授賞式の前の公開審査・講評が無くなりました。講評が無くなったのはちょっと寂しい気もしますが、交流会で審査員の方々の意見を聞くことで補完出来ているのかなと思います。当事者としては講評の時間が無くなったことで、ハラハラする心臓の負担が多少は減った気もします。結局、緊張はしましたけどね……。後日、HPの方に掲載されるというようなことをおっしゃっていたので、それを楽しみにしています。講評は今後の糧になるものだと思うので。

賞が増えたことに関しては、受賞の機会が増えることになるので、参加者としては励みになります。特に「俳優賞」はなかなか演劇の世界では数少ないので、とても良いと思います。これもyhsの櫻井保一が受賞したので、手前味噌になっちゃって気持ち悪いですが。今後はその他にも、スタッフワークに対する賞なんかも出来ていくと嬉しいなと思います。

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寄稿者:南参
yhs 代表
※yhs結成20周年記念公演 其の壱『白浪っ!』 TGR札幌劇場祭2017 大賞を受賞

text by ゲスト投稿

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