【特別寄稿】ようやく出来たぞ! 俳優賞!  寄稿者:上田龍成

 
TGR授賞式の前日のこと。
授賞式に行こうと思い、調べたついでに、日程をホームページからコピペして、自分のTwitterに書いた。

そしたら、すぐに1通のダイレクトメッセージが入った。

「TGRについて寄稿をお願いしたいです。」

というような内容の、ものすごく丁寧なお誘い。
日程をコピペして、SNSに書いたら、TGRについて何か書いて欲しいと言われた。驚きだ。

僕はギリギリ20代でまだまだ若者の部類だと思っているので、こういった文章を書くことで、なにか「偉そうだなコイツ」となるのが凄く怖いので、普段はこういった文章を書かないようにしてきました。

ただ、まあ、色々と思っていることもあるし、書いてみようかとこの文章を書き始めます。
 

 
何故、お誘いを受けたのか、いまいち把握をしていません。

それは、劇作をしている人間としてなのか、演劇だけじゃなくお笑いや音楽などを巻き込んでイベントをやっている人間としてなのか、はたまた、生業にしている映像の仕事からの視点からなのか。

僕は「星くずロンリネス」というお芝居のユニットをやっています。いつの間にか、20分以内の短編演劇中心とする僕一人のシアターユニットとなりました。様々なお客さんに「手軽に見やすい演劇を届けたい」と思い、2010年から劇作や演出、プロデュースを続けています。その他にも「小劇場のバラエティ化」とか「劇場以外で芝居を、劇場で芝居以外を」なんてことを掲げて、今年11月に幕を閉じた「札幌オーギリング」という大喜利イベントをはじめ、劇場を使ったイベントなどを多数行なう「ウェイビジョン」という団体も率いています。 

星くずロンリネスが「教文短編演劇祭演劇祭」という大会で優勝してから、全国の短編演劇の催しに出演することが増えました。

その元祖とも言える「劇王」が行われている愛知県。

愛知県でお芝居をして思ったことは、本当に「劇作家のまち」だということだ。劇作家協会の東海支部が活発に活動を行なっているし、SNSなんかを見てても、劇作家の発信力が強い。観に来るお客様も「誰が書いた作品なのか」に注目している。愛知の劇作家さんと話していて、その違いを痛感した。

札幌はと言えば、どうだろう。

僕は、札幌は「役者のまち」だと思っています。

昔のことはあまり詳しくはないけど、おそらく、札幌の演劇文化の発展には、ある種のタレント的な「役者」の力が大きかったのではないでしょうか。それは商業演劇とも違う、役者のタレント性。「劇作をやりながら出演をする」タイプの劇団が多いし、
お客さんに聞いても「あの役者さんが出ているから観に行く」というのをよく耳にする。発信力も劇作家よりも役者が強い印象がある。そして、全国大会に出たときにも、審査員の方や各地の芝居人から「役者の力」を褒められることが多い。とても嬉しい。
 

 
さあ、ようやく、TGRの話。

今年からTGRには「俳優賞」というものが出来ました。上に書いてきたように、札幌は「役者のまち」であると思っているので、この賞の新設は、本当に素晴らしいことだと思うし、嬉しく思っています。星くずロンリネスの参加した教文短編演劇祭でも、今年から俳優賞が新設されました(ちなみに獲得したのは星くずロンリネスに出演していた、熊谷嶺)

札幌の演劇の流れが「役者を観に行く芝居」が中心の流れになっているのではないだろうか。よくよく考えてみたら、演劇シーズンのチラシに一度も劇作家が載っているのを見たことがない。役者をやらない身としてはちょっと悔しい気もするが、札幌は「役者に注目が集まる」演劇都市になって欲しいと思っています。

その上で、俳優賞の存在を、事前にもっと周知して欲しいし、俳優賞の理由やノミネートした俳優なんかを授賞式の舞台上で聞けたらもっともっと励みになっただろうと思いました。下手すると、大賞よりも価値のある俳優賞になり得る可能性があるとまで感じています。個人的には、昔一緒にお芝居を作っていた櫻井が受賞したのが嬉しかったです。
 

 
最後にすごく個人的な話を。

今年は「札幌オーギリング」という大喜利ライブで参加しました。オーディエンス賞(首位打者)をいただきまして、ありがとうございます。可視化できる数値が出るのはドキドキしますね。平均値が4.93(5点満点)でした。僕は常にお客さんのためを思って色々な創作行為をしているので、本当に嬉しかったです。

そんな中で、yhsが大賞を取ったのは嬉しかったです。エンターテイメントなお芝居で大賞を取れるのだということを示してくれたので。

ただ、それ以上に悔しさがありました。負けているようじゃいかんぞ、と、正直。

来年は数年ぶりにお芝居でTGRに挑みたいと考えています。北海道の短編王者が珍しくメラメラしています。あー、来年の11月も楽しみだなー。

ウェイビジョンのページはこちら

寄稿者:上田龍成
ウェイビジョン/星くずロンリネス 代表 劇作家・演出家・映像ディレクター
※札幌オーギリング 休止興行『ラストアンサー』 TGR札幌劇場祭2017 TGRの首位打者を受賞

text by ゲスト投稿

SNSでもご購読できます。