今年度のTGRアカデミー奨学生になりました。私は、『きっとろんどん』という男4人のユニットで主に脚本演出を担当している、井上悠介と申します。22歳の若輩者ではございますが、何かの縁で特別寄稿を書くことになりました。よろしくお願いします。
あの日は、自分の銀行口座に5万円が振り込まれているのを確認してからTGR授賞式の会場に向かいました。檀上でお受け取りした目録の中身は空です。
2年前。私は札幌学生演劇祭の脚本演出として、TGRに初参加しました。TGRの概念を知ったのもその時です。TGR十周年だかの企画で、斎藤ちずさん、納谷真大さん、橋口幸絵さん、そして私で対談しました。今だから言いますが、辛かったです。
この年のTGR審査会の後の交流会で、特に知り合いもいないのでポツンとしていた私に酔っ払った二人の大人が絡んでくださりました。それは南参さんとイトウワカナさんなのですが、このお二方に「別にお前の劇は観ていないけど、劇団旗揚げちゃいなよ」的なことを言われて発足したのが『きっとろんどん』です。
TGR。今年から、大賞候補の公開審査が無くなったのが、大きな変化だと思います。昨年私はTGRに参加していなかったので、エントリー作品を片っ端から観ていました。そのノリで全く関係ないのに審査会にも足を運び、ただただ楽しみましたので、観劇側の立場からすると、少し残念です。朝まで生テレビみたいで面白かったのに。朝まで生テレビ観たこと無いけど。
札幌で活動する演劇人のスキルアップを目的とする奨学制度。TGRアカデミーです。具体的に説明すると、5万円渡すから演劇の勉強をしてこい、という制度です。東京に芝居を観に行くきっかけになるかなと思い、応募しました。年明けに東京行ってきます。楽しみ。
ただ、今年のTGRアカデミーの応募者は私を含め二人でした。凄く少なめです。自分の立場から物を申すのもただただ烏滸がましいですが、札幌演劇年間無料パスポートみたいものが貰えたらとても嬉しいなと思いました。来年からしれっと増えてないかしら。
最後に。奨学生として一年演劇を学んだ挙句、来年新人賞を取ることが出来なかったら、五万円返します。演劇辞めます。
きっとろんどん 2017年度TGRアカデミー奨学生
text by ゲスト投稿