proto Paspoor「ある映画の話」をシアターZOOにて。暗い話というので構えて観たけど、出だしは軽快。しかし途中で「映画」の意味が判り、主人公が壊れていくのがはっきりしてくると、どんどん救いが無くなっていく。精神的に辛い時に観ると、やられてしまいそうな迫力。
出てくる人たちが特別な人ではなく、ごく普通の、いま隣に座っていてもおかしくない人たちだけに、劇中で起きる事象が、明日自分やその周辺で起きてもおかしくないと思える。現実にわかりやすい伏線はなく、事件は常に突発的に起きるものだから。
中村雷太さんは硝子の猫の時は主人公達に救いを与える兄だったけど、今回は呪いの言葉を吐き、闇へと誘う兄。演じている時の雰囲気はあまり変わりがないように見えるけど、やっぱり何かが違っているんだろう。ちょっとした違いで、役割が正反対に。
脚本はまだ読んでいないのだけど、ト書きで何が書いてあるのか。表面に微かにしか現れていないことが、たくさんありそう。読んでから思い返すと、さらなる闇が広がっていたりするんだろうか。怖いけど楽しみという、ちょっとしたホラー感覚。
- 2017/12/03 12:00
- シアターZOO
- 約1時間25分
text by 小針幸弘