【特別寄稿】TGR札幌劇場祭について 寄稿者:明逸人

 
ELEVEN NINES present ミャゴラ「やんなるくらい自己嫌悪」をご覧頂いた皆様、誠にありがとうございました。

今年のTGRでは観客投票による得票数の一番多い団体に与えられる「TGRのホームラン王」を頂きました。アンケートを投票してくださったお客様に心より感謝いたします。お客様が楽しんでもらえるものを作る、この一心で常に芝居を作っていますので本当にありがたいかぎりです。

しかし、授賞式には行かなくて良かったと心の底から思っていることも事実です(外せない所要があり、出演キャストが参加いたしました)。

我々がこの賞を頂けたのはイレブンナインに人気があって観客動員を稼げるから獲得できた最多得票ではないと考えています。演出家はメインの納谷真大ではなく、キャストも若手がほぼ全部を占めた今回の公演は、当たり前に集客にも苦しみました。そういった中でもこの賞を頂けたのは、足を運んで頂いたお客様に楽しんでいただくことができたからこそだと考えています。

しかし、TGRの授賞式ではマジックで「ホームラン賞」とおざなりに書かれたプラスチック製のバットとボールを渡され、他の賞のように受賞コメントを求められるでもなく壇上から降ろされておりました。

決して「良いものをよこせ」「挨拶をさせろ」と言いたいのわけではありません。
「舞台を観て下さったお客様たちの気持ちの価値はこんな扱いなのか。」と落胆するのです。
私が授賞式に参加し、このような扱いを受けていたら、いただいた賞品をその場で丁重に返納していたことでしょう。

お客様は公演が終わったあと、星マークを面白かった数だけ塗りつぶし投票してくださった上でお帰りになります。それはとてもお手を煩わせることですが、お客様たちはそれでもなお投票していってくださいました。

そういうお客さんの気持ちに見合う賞ならありがたく受け取ります。しかし、このような扱いはあまりにもお客様の気持を軽んじた、とってつけたような賞に思えてなりません。

我々の事を軽んじるのは百歩譲って聞き流せても、我々のお客様を侮蔑する事は半歩たりとも許せない。お客様の手を煩わせるなら煩わせるなりの、それに見合った結末を用意されるよう、切に望みます。
 
 
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text by ゲスト投稿

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