樺太については、授業で習ったことしか知りませんでした。日露戦争によって起こったロシアと日本の間の問題だと思っていました。しかし、観劇後、樺太とは朝鮮人やアイヌの問題をも含む、第二次世界大戦終了までのさまざまな争いを内包した、 まるで戦争の縮図のような特別な場所だったとわかりました。
見終わった直後は圧倒されてうまく考えが整理できませんでした。笑えるシーンもたくさんあったけれど、それ以上にシリアスなシーンで突きつけられるものが重く、 息が詰まるようでした。分かり合える瞬間と、分かり合えない瞬間が交互に永遠と続く展開にハラハラしました。
もし、突然別の民族の人と暮らさなければならなくなったら…私には想像もつきません。ただ、強く思ったのは、 6人は現代社会のどの家族よりも家族らしいということです。背負ってきた背景が違ったり、相容れない部分があったとしても、 助け合って生きていこうとする精神は美しく、全うなものでした。当時の樺太の人たちは、仕方がなかったからにしても、 そのような暮らしが自然にできていたというのは、新鮮な発見でした。
今の私たちは、なに不自由なく生きてこられた、ご近所づきあいを知らない世代です。だから、いろんなことを想像するしかないと思います。 戦争体験講和などはきいたことがあっても、それは戦争の表面、一部分でしかないように思います。多民族をテーマにした今回の演劇は、自分事のように感じられる、 よりリアルな戦争の姿がありました。自分と他人の距離感のありかたを見直せるような、そんな作品だったと思います。
7/2(月) 19時 シアターZOO
投稿者:カハル(10代)
text by 招待企画ゲスト