象の物語と言えば、『かわいそうなぞう』だ。
昔、絵本が家にあって、確か花子はコンクリートで固められた灰色の壁のある檻にいたと思う。
そうそう、これこれ。
舞台上には「象と言えばこれ」な壁と格子があった。
*
前説のあと、象を彷彿とさせるゆったりと、重厚な音楽が聴こえた。
*
あっちのひとも、こっちのひとも、
みんな都合のいいように言うけれど、
あるところだけで言うとあながち嘘ではないし、
かといって本当でもない、なんてことは往々にしてあるのかもしれない。
なんとなく「光の三原色」の図を思い出した。
人によって、見る部分は違うけれど、重なり合ってる部分もあるような。
*
笑いのツボがあるように、行動のツボみたいなものもあるんだなあ、と思った。
すきな仕草とも似ているかもしれない。
それそれ!その動き!
というシーンがいくつかあって、そのシーンはなんだか嬉しかった。
*
『象じゃないのに…。』
とっても印象的なタイトルなだけに、終わり方を考えると少し違和感を感じる。
*
全体的に笑えるシーンが豊富。
お母さんの最初の怒号、パンチが効いていた。
そして何よりも、象が、パオがすきだ。
たまらないフォルム。
パオが作り出す影、しゃべるたびに揺れる顔、視野の狭さ、
ずるいですねえ、。
*
動物園に行くたび、象を見るたび、
この劇を思い出す気がしている。
もしかしてこの象、象じゃないかもしれない。
象じゃなくて……
*
2017/05/11 19:00
text by 中脇まりや