10年計画の途中と約束と  立命館慶祥高等学校演劇部『雪と桜と憧れと、』

念願の高校生演劇を初めて観た。ちなみに今年の観劇始めでもある。以前から観たかったのだが、平日が多かったり時間が合わなかったりで観ることができなかった。だから特に立命館さんを観たかった、という訳では無かったのだが結果オーライ、面白かった。小西泰輔先生(たしか30歳)と野崎智奈生さんの作・演出で、20分の演劇をそれぞれ2作品、合計4作品のオムニバス公演。

 

小西先生は可愛い顔に似合わず中々のチャレンジャー。『雪、のち』では夢を追いかける生徒を応援するような作品をみせておいて、『サクラ(ン)』では父親が浮気して責められると家族に暴力をふるい娘に刺されて死ぬ、という作品をぶち込んできます。父を殺した娘は(3年後だったかな?)中学生から高校生になり倫理の授業に興味を持つ。マンガの『ここは今から倫理です。』のような先生が「哲学にのめりこみ過ぎると精神に異常をきたすことがあります」みたいなことを言ったり、キルケゴールを持ち出してくるのは意味ありげで興味をそそる。でもその日のボクは午前中急な用事で時間を取られ疲れていた。先生が自身の不幸な生い立ちを語る頃が眠気のピーク。気が付いたら「・・・殺していたと思う」と先生の話が終わる。そのあと娘が母親に「父を殺したのは私」だと告白して上演が終わるのだが何で今さら告白したのか分からない(意識を失ったボクが悪いだけ)。先生の話を聞いてどのように考え方が変わったのか?なにぶん最後の意味が分からないものだからパンフレットにある「こういう演劇が必要だった、と思える時がくるはず」の意味も分からない。どなたか教えていただきたい。面白い演出もあったのだが長くなったので割愛。主役の中島彩友さんの雰囲気が良かったとだけ付け加えておく。

 

野崎さんの『大嘘つきの憧憬』は、マンガの『マギ』と『鋼の錬金術師』とウソップを足したような物語(私見)。嘘で「お前と出会ったのは人生で最高の不幸だ!」なんて感じで友情を伝え合う。野崎さん自身が言うように、ありがちといえばありがちなんだけど、泣けちゃうのはセリフ回しの上手さなのか?奇をてらわず王道で勝負できるのは強い。後輩の先輩に対する想いも上手くセリフに乗ったのかな?それにしても都筑双葉さんの声質は声優かな?誰かに似ているのだけど思い出せないのが悔しい。最後に『約束』。それぞれ進路は違うけど、何年後になるか分からないけど、同じメンバーで演劇やろうよ!っていう内容で『secret base~君がくれたもの~』が流れる。野崎さんのちょっと前のツイートをみると、先生から「10年後の演劇部をどうしたいか」というプレゼンがあったらしい。文脈からすると現在は10年のうちの1年と数か月かな?その10年計画に「約束」が上手く絡んだらいいな、と思う。

 

ということで、高校生の成長をみるのも楽しいのだが、同じくらい小西先生の成長が楽しみだ。来年も教文さんで日曜日にやってくれるなら観に行きたい。ウソかホントか先生のポケットマネーで会場を借りたようなので、チケット代を上げてもいいし、それか募金箱みたいなものが受付にあったら少額で悪いけれど入れさせてもらいます。期待しています。

 

2020年2月16日(日)教育文化会館 小ホールにて観劇

text by S・T

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