実験 イレブンナイン experimental『はじまりは、おわりで、はじまり』

ご縁のあった中学生に向けてのお芝居を一般客へ実験的に発表。
手応えによって長編化するという試み。

納谷さん、宮田さんが前説からメタ的に芝居の流れを話し、暗転、反抗期と義父、隣人大家さんの幼馴染姉弟、登校、母との回想、公務員の叔母さん、卒業式。
付随する、夢、金銭、好きと努力、親子の絆。

男性キャラが全員夢想家。売れない小説家、才能の無い若手役者、勉強のできない幼馴染弟。
女性キャラが全員何かが抜けている。夢の無い主人公、フられまくる隣人姉、考えない叔母、考えすぎる母親。

大人組、バランス悪くないですか。才能うんぬんと言うより、成功に運の要素が強いと感じた。
例えば、専門職は好きと実務のスキルを積むことで着実に成長しながら唯一無二になるチャンスを待てる。板前さん、パティシエ、大学教授、山岳登山家、クレイジージャーニーな人々。
もし公務員の叔母さんが、手芸、ボルダリング、カーリング、何でもいいので日本代表レベルの人だったりすると、ああそうか、お金を稼ぐのと、好きとかやりたい事をうまく回せば、極めることができるのかも!って気持ちになるかもしれない。
ほのぼのとした何も無い平和な毎日がもしかしたら一番幸せかもしれないけれど、それも選択肢の一つにすぎない。
あるいは、スマイルマツモト(役者)のバイトパン屋、実はパン業界で100人に一人の逸材扱いで、生まれ持ったパン作りに有利な手の暖かさと新メニューのアイデアが浮かびまくる才能によって”限りなく正社員に近いバイト君”と呼ばれている、とか。(でも芝居が好きだから役者は辞めない、辞めたくない)
対象の客が一般の大人なら何でも構わない(むしろキャラがダメ人間であるほどギャップが効いてくる)けれど、中学生とか子供が相手ならこういう具体的なアプローチがあってもいいのではないかと思った。希望の光という言葉も随所で聞いたので。
(役者の成功に運要素が強いかどうかは実際に経験したことが無いので間違ってたらすみません。)
実験というテーマに便乗して、こんな事を考えてみた。

親子の絆の部分に関しては物凄く熱くて繊細で震えた。大好きです。

3/10 18時 サンピアザ劇場

投稿者:橋本(30代)

text by 招待企画ゲスト

SNSでもご購読できます。