年季のある味 札幌座Pit『白鳥の歌』

ベテラン女優の二人芝居。
原作のチェーホフを知らないので、どのような変更があったかはわからないが笑えた。
あらかじめパンフレットを読んでいたので作中にでるお二方の出演した舞台名がわかってよかった。出演なさった過去作を踏まえているということだった。

夜中、打ち上げにて酔った女優が劇場に取り残され、差し入れのおはぎを処理するために現れた別の女優と、老いのそばにある年齢、孤独、希望の感情などを題材にした過去作を無人のステージで演じはじめる。互いをめんどくさい女と罵りながらも、最後には残りの人生への希望を手に劇場を去る。

自分は観劇キャリアが浅いので、ルールやら札幌演劇界の変遷やらがまったくわからない。が、単純に面白かった。一挙手一投足における熟練度。間。テンポ。煮込み、おでん、角煮。年季のある味は裏切らない。ステージがあって熱があるからエンターテインメントは成り立つ。客がいなきゃ煮詰まる。それを人は新しい試みで最適化していく。終わりを決めれば終わるが、誰かに残せば繋がる。そんな事を受け取った。

4/21  12時 シアターZOO

投稿者:橋本(30代)

text by 招待企画ゲスト

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