配役を変えた狙いを知りたい  北海学園大学演劇研究会『偽物共』

作・演出 櫛引ちか

自称偽物の男・・・中禰颯十                                        千鶴(天才少女)・・・城崎千歌/柏倉佑奈                                       マサル(アンドロイド)・・・橋本快人                                  雪菜(アイドル)・・・長岡柚希/中田遥菜                                               高橋(マネージャー)・・・中村純也/松浦史尭                                       森山(記者)・・・奥村怜                                                秀俊・・・鈴木雅秀                                                  秀俊の上司・・・松浦史尭/中村純也                                                  秀俊の彼女・・・柏倉佑奈/城崎千佳                                                 前説・ヤス(森山の舎弟)・・・中田遥菜/長岡柚希

とにかく面白かった!                                                                           前説の長岡さんの目がイッちゃってたので勢いで押していくのかと思いきや会話自体が面白く、笑いも残酷さも切なさも練られたものが物語に自然に織り込まれていた。完成度が高い!それだけに気になったのが二日間、二回の上演で数人のキャストが違うことだ。それもメンバー自体は変わらず演ずる役を上記のように入れ替えるやり方で。実のところボクはダブルキャスト等には全く関心が無いタイプである。ダブルキャストなら他の役者の演技も変わるはずで余計な負担ではないだろうか?だったら固定したメンバーで一体感を追求した方が良いと思えるからだ。

だがしかし、今回ボクが「気になった」のは良い意味で、である。登場人物たちとその演技が魅力的で、それを他の役者が演じたらどうなるのか?その答えを観てみたいと思った。テレビドラマを観て「この役を違う役者にやらせるなら誰が良いかな?」と思うことがあるが、今作では空想・仮定の話ではなく実際にもう違う役者で演じられているのである。オタクっぽい天才少女をあの人が演じたら?顔を整形し年齢詐称したアイドルをあの人が演じたら?癖のあるマネージャーをあの人が演じたら?ドジな特殊詐欺犯をあの人が演じたら?・・・・観てみたいに決まっているだろ!と思いつつ、反面「作品は成立するのかな?」とも思った。

分かりやすい例を(批判を恐れずに)あげれば、ボクが観た回の整形アイドルは「美形」ではなかった。整形したのに美形では無く、それをマネージャーが追求していくところが個人的には面白かったのだが、別の回では「美形」の役者さんが演じている。「違うタイプの役者さんであの芝居が成立したのか?」とボクは考え込んでしまった(誤解を恐れずに言えば)。両日観劇された人の感想を聞きたい。

不思議なのはキャスティングが初日と二日目で変わることは事前には宣伝されていなかったはず、つまりお客を呼ぶため、集客増を狙ったキャスティングの組み換えでは無いと考えられること。役者の経験値を上げるためのものか?役を変えることで役者の出番の多さ少なさを調整したのか?単純に演出のわがままか?櫛引さんには是非解説していただきたいものである。

2022年12月19日(日)12:00

演劇専用小劇場BLOCHにて観劇

text by S・T

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