笑った後の切なさとは 札幌北斗高校「イチゴスプーン」

【宣伝】1月11日(水)15時より、札幌市中央区のかでる2・7にて、北海道高校演劇Special Dayの1作品として上演されます。500円です。安いのに面白いです。平日の昼間ですが、お時間がある方、観に行きましょう!

【本文】 高校演劇の魅力は、どうしたら伝わるのだろう。他校の演劇部や友達や家族や学校関係者など、観に来る人の範囲はほぼ決まっているように見える。あの劇団やこの劇団を観ている演劇ファンが進んで観に来るようでもない。全国大会でかなりいい賞をもらって帰ってきて取材を受けても、高校野球全道大会の決勝の結果よりも小さい扱いだ。なんですかね、もう。…と、高校演劇の感想を書く度に考える。それでも、魅力を知ってもらうためには観てもらうしかない。「だから、観てね!」と気軽に言えるのが、札幌北斗の「イチゴスプーン」だったりする。

※注意※ 感想には本編に触れている部分があります。「何も知らないで観たい」という方はご注意を。

 クラスではいないのと同じものとして扱われている男子3人。茶道部の部室でそれぞれの「パワー」を見せ合い、妙な盛り上がりをして楽しむ毎日だ。そこに「茶道部に入りたい」という、塩対応な女子がやってきて…というのが出だし。とてもいい意味で男子3人が「気持ち悪い」。その気持ち悪さ(※注意 繰り返しますが、褒めています)が「イチゴスプーン」という作品の「明るさ」でもあり、「暗さ」でもある。

 「明るさ」としては、とにかくキモ楽しい(※注意 褒めています)ところ。自分を捨てたようななかなかの振り切り具合で、観劇後に「あれは演技だったんだ」と冷静になって考えると、いい意味でぞっとする。一方で「暗さ」は、クラスでの存在感のなさ。クラスが描かれる場面は少ないが、いじめられているわけでもないのに息を潜め、自ら存在感を消している姿はとても切ない。そんな「暗さ」があるから、「明るさ」がさらに際立つ。はしゃいでいる裏で、黙りこくる姿が透けて見えてくる。観ている間は気付かなかったけれど、観終わった後、物語を振り返った時にそのバランスの妙を感じた。須知先生が書いた台本の面白さもあるけれど、やっぱり、1人1人が自分の役とどう向き合っていたかが全てなのかなとも考えた。

 男子3人と塩対応な女子の他にも、塩対応の女子の姉や新聞部の女子たち、ものすごく不思議な名前の部活など、追いかけたい役、設定がたくさんある。たった1時間の中で、よくもまあこんなに詰め込めましたね、とうれしくなる作品でもある。

 「イチゴスプーン」は、昨年11月に砂川市で行われた高校演劇の全道大会で優秀賞を受賞して、今年3月、大分で行われる「春フェス」に参加する。かでるでは、なかなか大変な状況下での上演になるようだが、男子3人の気持ち悪さ(※注意 絶賛褒めています)をぜひ観てほしい。

2022年11月18日 砂川市地域交流センター「ゆう」で観劇

text by マサコさん

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