2022年度 記憶に残った作品 ー 劇団た組、マームとジプシー、吟ムツの会、他 

やすみんの選んだ3+1作品

■劇団た組『ドードーが落下する』2022年10月22日クリエイティブスタジオ

新しかった。見終わって、日常の世界を高所から見ているような俯瞰景を感じたが、私自身が離れて見なければ苦しかったのだろう。無力感がハンパない。軽快な会話、青春、仲間、でもそれぞれ向いているベクトルはバラバラ。日常会話で現代社会を映し出した。精神を病む一人と周囲の仲間の反応。精神疾患の壁に立ちすくむ。所詮、他人を助けられると思うのは、傲りや気休めに過ぎないのか。心温まる物語を期待するなかれ、孤独感と無力感を抱えて帰れ、という潔さがあった。
 
 
■マームとジプシー『COCOON』2022年9月17日だて歴史の杜カルチャーセンター

東京芸劇で7月に観るはずがコロナで中止となり、藤田貴大氏の故郷で最前列観劇という特別感あり。チケット手配、交通手段提供の友人たちに感謝である。物販カートに来て地元の知り合いらしき人々に挨拶したり、差し入れを受け取ったりしている笑顔の藤田氏も見れた。戦争によって踏み躙られ奪われていく沖縄の少女たちの青春。例の詩的な世界に引き込む演出はさすが。ただ沖縄本土復帰50年を迎えるにあたりアップデートされたのかも知れないが、戦争への思い、未来への想いのエピローグが少し口説いように思った。だが語りたい気持ちは同じだ。戦争は続いているから。
 
 
■吟ムツの会『マグノリアの花たち』2022年6月26日コンカリーニョ

コロナ禍、延期を余儀なくされながら頑張っている高野吟子さんたちを応援すべく観劇。米国南部社会の描写満載の、南部女性らの強さを描いたハーリングの脚本。自己犠牲、奉仕を美徳とするキリスト教社会が強く意識される。はやくコロナが収束してもっと舞台を観たいと思わせてくれた作品。ありがとう。
 
 
■青年団『日本文学盛衰史』2022年12月15日江別えぽあホール

ノスタルジーは感じたが、寒さのせいか心は動かなかった。もっと熱いものに飢えていたのだろう。

text by やすみん

SNSでもご購読できます。